まずは聴いてね
マイクポジションが3種類選べますので、同じ曲を3つのポジションで聴き比べるようにしました。
17分弱の長大な曲ですので、じっくり聴くなり飛ばして聴くなりしてください。
(リミッターとしてTR5 Stealth Limiterを使用していますが、他のエフェクターは使用していません)
Music: Franz Liszt / Bénédiction de Dieu dans la solitude S.173-3
こんな曲を作るときに向いてると思います
- クラシック音楽全般
- そのほか「生っぽい」ピアノがほしい曲
良いところ、ビミョウなところ
良いところ
- ピアノとして、表現の幅が広い
- ハーフペダル、ソステヌートペダル、ソフトペダルに対応
- サンプルのロード完了後の動作が軽い
- .sclファイルによるチューニングに対応しており、微分音曲の作曲が可能
- Doricoの微分音臨時記号に対応しており、Dorico上のプレイバックで譜面に対応した音が出せる
ビミョウなところ
- サンプルのロードが遅い。SSDにインストールしてもそこそこかかる
- 音があまりカスタマイズできない
- 重厚な和音を鳴らすと少し音が濁りがち
- プリセットを保存したときにベロシティカーブの情報が保存されないことがある
- リズナーブルな価格ではない
感想とか
ヤマハのフルコンサートグランドピアノをサンプリングした音源で、ピアノの暖かい音から鋭い音まで、広い表情付けが可能な音源で、様々な曲に適応できるオールラウンダーだと感じました。ピアノソロ以外にも、室内楽も協奏曲もいける音源です。ハーフペダル、ソステヌートペダル、ソフトペダルに対応しているお陰で表現の幅がかなり広がっています。ポピュラー音楽やジャズについては、筆者が自分で作らないジャンルなのでよくわからないのですが、おそらくいい感じに使えるのではないかな、と無責任ながらに思います。
サンプルのロードに時間がそこそこかかるところや、和音を鳴らしたときに音が濁りがちなところは少し残念に感じますが、ピアノとしてこれだけ自然な音を出せる音源というのはなかなか見つからないので、買った時からずっと愛用しています。和音の濁りについてはAmbientマイクの音量を下げることで改善できますが、下げ過ぎると音の重厚感も無くなってしまうため、調整が難しいところです。
ラウンドロビン非搭載故、同音連打やトリルについては、若干機械らしさが出てしまうことがありますが、打ち込みの工夫でカバーできる範囲ではあります。
マイクポジションについて
「Classic」「Contemporary」「Player」の3種類から選べますが、よくあるピアノ音源と違い、3つのマイクポジションの中にそれぞれ「Close」と「Ambient」があって、この2つの音量などを調整しながら使う形になっています。
違うポジションのマイクを混ぜる機能は無いので、音色を変える感覚で選ぶといいでしょう。
Classicはピアノからやや離れて聴く感覚、Contemporaryはピアノの近く、Playerは名前通り演奏者視点の音の感覚です。筆者的にはClassicが一番使いやすく感じました。Contemporaryは打鍵音が欲しい時に選ぶ感じでしょうか。Playerは独特のクセがあるように感じますが、ピアノが目の前に居る感覚が欲しいときにはいいと思います。
総評
ピアノの生の質感というのを大切に設計されたという印象を受けました。ピアノの鍵盤を押してる間はもちろん、鍵盤を離してからの音の消え方も不自然さがありません。
生っぽすぎる故EDM等に使うには不向きかもしれませんが、クラシック音楽のような作風を作りたい時には大活躍してくれるかもしれない音源です。
サンプルをHDDにインストールしてしまうと立ち上げる度に長い間待たされることになるので、できるだけSSDに入れてあげましょう。
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